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pure love

第3章 初恋?

ペコッと、そいつは俺に向けて頭を小さく下げる。

慌てて俺も同じように返した。

それを見届けて、そいつはまた凛と並んで歩き出す。


─────大人だな…。

こういう時、こっちを睨んでくるような奴しか周りにいなかった。

俺の視線に気付き、睨んでる事にも気付いただろうに、そいつは俺に頭を下げた。

そんな対応が出来る奴、初めてだ。


「……クソッ……」

何に対してなのかわからないけど、そいつに敗北感を覚える。


「蓮! 帰るよ?」

いつまでも、凛とそいつの歩いて行った方向を見つめる俺に、母親が声を掛ける。

車に乗り込めば、ウザイくらいに質問攻め‼︎


「明日はお休みでしょ? ゆっくり休んで…でも午前中のうちに凌太先生に診察してもらいましょうね」

あー…そうだった……。

合宿が終わったら、すぐに診察に来いって言われてたんだ。

凌太先生の顔を思い出し、少し憂鬱になる。

と同時に、合宿中に感じた”発作とは違う動悸”
その正体を、凌太先生なら知っているんじゃないかって、そんな気がしたんだ。

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