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pure love

第3章 初恋?

「だーっ、もう止めろよ!」

凌太先生の手を払い除け、撫で回されてぐしゃぐしゃになった髪をバサバサと直す。

「元気そうだな〜。入院の必要はなさそうだけど、念の為、診察と検査するから。支度終わったら外来に降りて来いよ」

そう言って凌太先生は病室を出て行った。


心配ないと分かり安心したのか、寝不足丸出しの顔のまま、父親は仕事へと向かう。

荷物を車に運んだり、看護師さんに挨拶に行ったり、母親がバタバタしてるうちに、俺は身支度を整えていく。


ふと、合宿所での凛の言葉を思い出す。


”……病気”


病気のために山登りに参加しなかった凛。

凛の病気って何だろ……。

もしかしたら、秋村病院に掛かってるのかもしれない。

……凌太先生なら、知っているのかも知れない。


そんな風に思いながら、俺は凌太先生の診察室のドアを開けた。

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