テキストサイズ

pure love

第4章 距離

「高杉くん!」

痺れを切らしたそいつが、ヒステリックな声で叫んだ。

「凛と付き合ってるの⁈ 」


─────またか…。

俺の中でまだその先への答えが出ていないのに、周りはすぐに答えを求めてくる。


「マキちゃん、私と蓮くんは付き合ってないよ。ただのクラスメイトだよ」


……ズキンッ

凛の言葉に、胸が抉られるような痛みが走る。


”ただのクラスメイト”

そうだよな…

その通り……なんだけど……

なんかすげー胸が痛い。


「じゃあ何で呼び捨て⁈ 何で仲良さそうにしてるの⁈ 」

マキって子はその後もヒステリックに喚きまくる。

「は……ただの、クラスメイトでも…ッ…呼び捨てし合ったりするだろ」

ぶっきらぼうにそう言って、凛たちに背を向ける。


「じゃあ私のことも呼び捨てで呼んでよ⁈ 」

グッと強い力で後ろへと引かれる。

振り返れば、涙目のマキ。


(……ヤベ……このままじゃ……)


先程の鋭い痛みと共に始まった発作。

このままじゃ病気の事がバレる。

そう思い、俺は深く考えずにそいつの名を呼んだ。


「マキ……」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ