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pure love

第4章 距離

パタパタとマキの立ち去る足音が遠ざかる。

壁に背中を預け、ズルズルと座り込む。


「蓮くん⁈ 大丈夫⁈ 」

苦しくて…大きく上下する肩に、凛の手が触れた。

「すぐ…はぁっ…治まる…っ…」

発作を抑える薬を飲み込み、睨むように空を見上げる。


こんな姿……凛には、見られたくなかったな……。


少しずつ落ち着き始めた呼吸に、視線を凛へと戻す。

ポロポロと涙を零しながら、携帯で誰かに電話している凛。


………電話?


「凛……誰と、電話……」



─────…っ⁈



視界が凛で塞がれる。

ていうか、アップ過ぎて凛の顔がわかんないくらい。


なっ、ななな…何が起きた⁈


近過ぎる凛の顔を辿る。

きめ細やかな肌。

スッと通った鼻筋。

そして……


ふっくらと艶やかな凛の唇は、


俺の唇と重なっていた。


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