神様の独り言
第12章 神様は迷羊に救われる
それから…数日…
道子とハキが海外へ飛び立つ日が来た―――――…
リムジンに乗り込み、酒井の運転で空港に向かう―――…
プライベートジェットが準備されている場所まで車で行けるから…車椅子のハキには…助かるルート…
「やっと……静かに暮らせる」
「―――――――…」
「道子様――――…少し…お時間よろしいですか?
私から…お別れの品を贈りたいのです―――――」
酒井は、空港に入る手前の道で車を止めた――――…
「―――――酒井…一緒に来ないからって大げさだわ…今からだって遅くないのよ?一緒に来て欲しいくらいなのに――――…」
酒井は、車を止め…
道子とハキを車の外に誘う――――――…
車から出ると――――…
川沿いの土手に二人を案内した…
酒井が昔…時田 和義と出会った場所――――――…
「ここは…私が…救われた場所でございます…
借金まみれで…ギャンブル依存性だった私に…
先代様が…生きる選択をくれた場所――――…」
酒井は、土手に続く道を…ハキの車椅子を慎重に押して川が見える場所までいどうする…
「―――――お父様が…ここで―――――酒井を救ったのね…
お父様は…私の憧れだったわ……
知的で紳士で…私の無いものすべてを持っていたわ…
大好きな……偉大な人」
「そうでしたか…―――――――…
しかし…道子様は、先代のこと……
その様に思っておられませんでしたよ?
――――――――泉様…」
酒井は、サッとハキを背にかばい…
道子と距離を取る――――…
「―――――酒井…?」