神様の独り言
第3章 神様は立ち止まる
コンコン――――…と、扉をノックする音に…
道子だけが反応する―――…
「道子様…お風呂の支度が出来ております…」
『ありがとう…』
道子は、声をかけた年老いた使用人に手話で答える…
「―――――…ハキ…お風呂だって…一緒に入る?」
少年は、道子の動きを感じ唇を見て――――…コクンとうなずいた…
「酒井は…おじいちゃんで助かるわ…」
酒井と呼ばれる使用人は…耳が少し遠いのか…
道子の呟きには…一切反応しない…
そして…酒井は、年寄りにしては…手話の取得も早く…
道子の世話をするのに…適した人材となった…
『酒井…ハキも一緒に入るから、着替えを用意してね』
「かしこまりました…」
そして…暗示にかかっているのか解らないが…
道子への忠義は……立派なものだった…