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12cm~越えられない距離~

第11章 魅きつける力

すると。

「あ!あんた、あれだ!!えっと…ほら、あ~…アキちゃん!!」

名前を叫ばれ、指まで差されたアキが咄嗟に

「はいっ!!」

と返事をしてしまうと

「やっぱり!!!」

おっちゃんは嬉しそうにアキを見た。

「真央ちゃんがよくあんたの話するんだ。試合のビデオも見せてもらったんだよ。いや~、やっぱり背ぇ高いんだねぇ」

「はぁ…。ありがとうございます…?」

戸惑いながら受け答えして…小声で俺に訊ねてきた。

「…誰!?」

「肉屋のおっちゃん。真央のおじさん」

「あ…。噂の?」

「そうそう」

おっちゃんは内緒話をしている(ように見える)俺たちに

「いや~、でもまさかりょーくんの彼女とはね」

「だから!!彼女じゃないって!!」

「照れるな、照れるな」

あ、駄目だ。聞く耳持ってない…。

諦めのため息をつく俺に、おっちゃんは

「ちょっと待ってろよ」

と、自分の店に戻っていった。

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