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12cm~越えられない距離~

第11章 魅きつける力

その時、ふと思った。

アキなら、何で言うかな…?

「あのさ…俺が部活で居づらい訳」

突然話し始めた俺に、アキは意外そうな顔をしながらも聞いてくれた。

「…うん」

「市のコンクールに出品する絵を描かなきゃならなくてさ…」

「うん」

「周りの奴らは、すっげえ真剣に描いてるんだよ。出品作品なんだから、当たり前なんだけどさ」

「ん…だろうね」

「俺もさ、絵を描くの、嫌いな訳じゃないんだ。ただ…」

ふっとため息をこぼすと、

「俺が評価してほしいのは、絵じゃなくて彫刻なんだって思いがあって…」

『何で絵を描かないの?』

いつも聞かれる問いに、いつも答える。

『絵を描くの、嫌いなんだ』

すべてを説明するのは面倒で…だけど本当は。

「絵を描く度に、その思いが強くなって…絵に愛着が湧かなくなる」

「だから…描かないんだ」

「ん…。で、部室に居づらい」

「そっか…」

アキはペットボトルのジュースを飲むと、俺の顔を見て言った。

「自分で生み出したものに愛着持てないのって、ツラいでしょ?」

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