テキストサイズ

12cm~越えられない距離~

第11章 魅きつける力

「私もそうだから…分かる気がする」

やっぱり、アキも悩んでるんだ。

眉を寄せて、辛そうに話すアキの表情が気になって仕方ない。

「アキ…バスケやるの、ツラい?」

「バスケが…というよりは」

俺から目をそらして、ふうっとため息を付いた。

「バスケをやることで皆から期待されて…それに応えられない自分に苛立つのが、辛い」

一瞬難しい顔をして、すぐにふっと笑いを浮かべた。

「それが今日部活サボった理由」

「うっぷん、溜まってんの?」

「うーん、そうかも」

はははっと苦笑いを浮かべると

「それこそ、あの球技大会の逆転シュート。あれが問題でね」

「ああ…、あれが?」

「繚は、狙ってやったと思ってたんでしょ?」

「ん…。練習見に行った時もフェイントかけるような事してたからさ」

さっき部屋で怒りだした話題だから、受け答えに慎重になってしまう。

「でも、実はシュート打とうとしたら、要先輩に止められそうになって、何とかしようとした結果、ああなっただけなの。本当に偶然決まったんだよね」

アキはベンチに凭れて、空を見上げた。

俺もつられて空を見上げた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ