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12cm~越えられない距離~

第14章 傷ついたのは…

その言い方にカチンときた。

誰が禁止なんて言った!?

「コンクールに出すのは、版画じゃないものを描く」

「だったら」

言いかけた近藤を遮って、ピシャリと言いきった。

「彫刻やめる気はない」

真正面から近藤を睨み、作業に戻る。

「いいから!!」

苛立った近藤が、俺の背中を押した。

砥石の上で構えてた小丸刀がズッと滑り…

「…っつ…っ!!」

押さえた左手から、ポタッ、ポタッと血の滴が床に垂れた。

「きゃーーーーっ!!!!」

何でお前が叫ぶんだよ!?

近藤の声に、その場にいた全員が俺達を見る。

「繚平、大丈夫かよ!?」

沢尻が慌てて俺の側に寄り、腕を取った。

「沢尻?」

「とにかく保健室行こうぜ!!」

そしてそのまま手を引かれた。

「シゲ、床、掃除しといて!!」

沢尻が新垣に指示して、新垣が

「お、おぉ」

と返事をかえす。

「悪い!!」

新垣に一言詫びを入れて、沢尻と共に美術室を後にした。

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