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12cm~越えられない距離~

第14章 傷ついたのは…

保健室に着くと、保健医の姿がなかった。

「何だよ!!居ないのかよ!?」

沢尻がぶつぶつ言いながら、棚から消毒液やら色々出してきた。

「お前、手慣れてるな」

「あぁ…よく来るから」

覚えるくらい、そんなに怪我してたか?

不思議に思いながらも、道具を出し終えた沢尻が

「じゃあ、手を洗って傷見せろ」

「お…おぅ」

手を覆っていたハンカチを外そうとしていると、血が乾いて、ハンカチが傷に貼り付いているのを目ざとく指摘された。

「そのまま濡らした方が痛くないぞ」

「あ、そうだな」

水道水で洗っていると、傷口からまだ血が流れていて

「結構深いんじゃないか?」

沢尻が眉を寄せる。

「あんまり痛くないんだけどな」

左手の小指。傷は、第1関節と第2関節の間を斜めに横切っていた。

「研いだばっかりだからスパッといったんだろ」

そんな事を話していると

「あら、二人でどうしたの!?」

保健室のドアが開き、保健医が中に入ってきた。

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