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12cm~越えられない距離~

第14章 傷ついたのは…

「今日は俺じゃないから」

沢尻がそう言って、俺を指差し

「こいつ、彫刻刀で指怪我した」

「どれ?見せて」

保健医が近付き、俺の指を見ると

「うわ。彫っちゃったの!?」

彫る、と言うより、抉ったような傷。

「きれいに治したいなら、整形外科で縫ってもらった方がいいかも」

は?縫う!?

「これくらい、バンドエイドで平気です」

「え!?痛いでしょ!?」

「そんな痛くないから」

俺と保健医のやり取りを見て、沢尻がくっくっと笑いを浮かべて

「繚平、すげぇ必死だな」

笑ってんじゃねぇよ!!

「取り合えず応急処置して、病院行きましょ」

「だから、バンドエイド」

「血も止まらないのに!?」

うわ。すげぇ睨まれた。

「分かりました~」

渋々頷くと、沢尻に

「んじゃそう言う訳で。後で荷物取りに行くわ」

「OK。…付いてってやろうか?」

「要らねぇし。でもありがとな」

沢尻には部活に戻ってもらって、俺は整形外科に行くことになった。

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