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12cm~越えられない距離~

第14章 傷ついたのは…

病院で結局四針も縫った。

こんな、3㎝くらいの傷に四針も縫った。

でも縫う痛さより、指の又に差した麻酔の方が激痛で!!

麻酔のせいもあるかもしれないけど、動かさないように包帯できっちり巻かれた小指が、普段より太く感じる。

なんと言うか…大袈裟に見えるよな…。

ため息ついて美術室に戻ると。

部員の雰囲気が、さっきと変わっていた。

イーゼルに向かってるのは変わりないんだけど…。

我関せず、と言うか。

分かりやすく、無視されている感じ。

「新垣、さっきはありがとう」

声をかけたものの、

「あ…うん」

短く答えただけで、すぐに自分の作業に戻ってしまう。

……何だろう…?

「繚平、大丈夫か?」

沢尻が声をかけてきた。

「おぉ、こんな感じ。四針も縫った」

指を見せると、うわ、と目を剥いて

「あんなに抵抗したのにな。ご愁傷さま」

すると、大島先生が俺を呼んだ。

「中谷くん、ちょっといいかい?」

「あ、はい」

応えた俺に、沢尻が困った顔をする。

少し気になったけど、大島先生の側へ行った。

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