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12cm~越えられない距離~

第14章 傷ついたのは…

「怪我して病院行ったって?傷の具合はどうなんだ?」

「四針縫いましたけど、肉を削いだだけなんで大丈夫です」

大島先生が眉を寄せた。こういう話、苦手なのかな?

「そうか…。経過は部長に聞いたよ」

あの時、先生居なかったもんな。顧問としては気になるところか。

「あ、そう言えば近藤は?」

美術室に戻ってきてから姿を見ていない。

「彼女なら帰ったよ」

帰った!?

あのクソ真面目が取り柄みたいな奴が!?

「君が怪我したことでだいぶショックを受けたみたいでね…」

「はぁ…」

まぁ、原因はあいつが俺の背中を押したから…って言えばそうだもんな。

自分が怪我させた、って思ってるのかも。

「それで…まぁ、彼女にも部長としての立場もあることだし」

「…?」

だから何だってんだ?

「君も、手を負傷したって事で、部活動しにくいんじゃないかと」

怪我したのは左手で、利き手じゃないんだけど。

言いたいことの意味が分からず、顔をしかめると

「つまり…しばらく、部活、休まないか?」

………は?

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