テキストサイズ

12cm~越えられない距離~

第15章 夏休みの始まり

「いらっしゃいませ」

反射的に挨拶して、お客の顔を見て営業スマイルを消した。

「あれ。今日は部活休みか?」

店に入ってきたのは真央とアキ。

「今までやってきたよ」

「明日試合だから、早く終わったの」

「へぇ。そりゃご苦労さん」

そんな話をしていると、店の奥からハハオヤが現れた。

「いらっしゃいませ」

そして俺達の姿を確認すると

「あ~!!晶ちゃん!!また来てくれたの!?」

満面笑顔でテンション高くアキに話しかけた。

「こっ、こんにちわ」

勢いに圧されるように、アキが挨拶すると

「おばちゃん、あたしもいるよ?」

真央が声をかけた。

「あら、肉屋の真央ちゃん」

ハハオヤの言葉に、真央は顔をしかめ

「あたしんち肉屋じゃないし!!」

「どうもアンタ見ると肉屋の顔が浮かぶのよねぇ」

ふふっと笑いを浮かべると、真央が頬を膨らませた。

「そんな似てないし!!」

「ごめんごめん。お詫びに値引きしてあげるから」

「ほんとに!?じゃ、こっち来て」

真央は笑顔でハハオヤをアクセサリーが置いてあるコーナーに連れていった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ