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12cm~越えられない距離~

第15章 夏休みの始まり

「ゲンキンな奴」

苦笑いを浮かべて真央を見ると、アキが

「あ…包帯、取れたんだね」

と、俺の指を見て言った。

「あぁ、明日抜糸」

「そっか。良かったね」

ひらひらと手を振って見せると、アキが笑った。

「利き手じゃなくても不便だったでしょ」

「ん…。これで赤い糸、切れたかもな」

傷口を見ながら言うと、

「え!?」

「よく言うだろ?左手の小指、赤い糸で繋がってるって」

俺の言葉にアキはキョトンとしてる。

あれ?冗談が通じてない?

笑い話にしようとしたのに不発に終わってしまい、取り繕う言葉を探していると

「大丈夫だよ」

とアキが言った。

「ほんとに運命なら、簡単に切れないから」

俺を見て真面目に言うアキに、正直焦る。

「えっと…」

言葉に詰まってしまうと、ハハオヤが携帯電話片手に戻ってきて

「繚平、肉屋が頼みたい事があるから来てくれって」

「え!?」

またラブコロがらみの話か?

「今ちょっと行ってきてよ」

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