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12cm~越えられない距離~

第15章 夏休みの始まり

「りょーくん、ジャストタイミング!!」

肉屋のおっちゃんにそんな言葉で迎えられ、俺の嫌な予感はさらに深くなった。

「おっちゃん、何だよ」

「いやな、ラブコロなんだけど」

やっぱり。

「第2弾とかなら」

お断りだと言おうとした俺を遮って

「いやいや、違う違う!今ものすごく人気商品になってるんだよ」

マジでか!?

「こないだ夏祭りの屋台で売ったら、ものすごく売れまくって」

あぁ…歩きながら食べるには手頃だもんな。

「それ以来、店に買いに来るお客さんが増えて増えて」

へぇ…良かったじゃん。

「…で?何で俺は呼ばれたの?」

まさか、その自慢話したいがためじゃないよな!?

「今からラブコロ揚げるから、詰めるの手伝って」

「はぁ!?」

その為かよ!?

「俺だって店の手伝いが」

「大丈夫大丈夫!了承済みだし」

携帯電話を持ったハハオヤを思い出す。

あいつ…俺を売りやがった!!

「それに、りょーくんはラブコロの生みの親だろ?」

生んでねぇし!!

なんやかんやと理由をつけられて、仕方なく肉屋の手伝いをすることになった…。

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