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12cm~越えられない距離~

第16章 須方のお祖母ちゃん家

「立っとらんで。中、入りぃ」

ばあちゃんが招き入れ、二人が居間に上がった。

中を見回し、ばあちゃんと俺しかいないのに気付き

「親父たちは?」

「畑」

「息子が帰ってきたのに?」

何だよ、と言いたげな口ぶりの一期に、俺が口添えする。

「とうもろこし採ってるって」

「へぇ。良いとき帰ってきたな」

一期は笑顔になり、後ろで所在なさげにしている真由美さんに話す。

「うちのとうもろこし、すっごく甘いんだよ」

「そうなの?」

ホッとしたように笑顔になった。

この人、幾つくらいなんだろ?

一期と付き合ってんだから、二十代なんだろうけど…笑うと、余計若く見える。

「見に行く?」

「え?お邪魔じゃない?」

「大丈夫だろ?」

一期が軽く言うと、ばあちゃんが

「やめとき」

と、一言で止めて、一期がキョトンとする。

「靴汚れるで。折角綺麗なん履いとるんやし」

ばあちゃんの言葉に、一期と真由美さんが顔を見合わせ…笑った。

「…だな」

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