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12cm~越えられない距離~

第16章 須方のお祖母ちゃん家

自己紹介すると、真由美さんが慌てて

「河野真由美です。岐阜市のアパレル会社で事務の仕事をしています。よろしくお願いします」

明らかに年上なのに、きっちり挨拶してくれた事に好感を持った。

いい人そうだな。

「失礼かも知れないけど、幾つ?」

「23です…けど?」

「え。マジで!?ギリ二十歳かと思った!!」

「まさか」

くすっと笑った顔を見て、やっぱ笑うと幼くなるなと確信する。

「で?どうやって一期に取っ捕まったの?」

俺の質問に、一期がムッとした。

「お前な。人聞き悪いこと言うなよ!?」

「えっと…うちの会社の近くに、高橋さんの勤めてる喫茶店があって」

「え。客に手ぇ出したの?」

「だから!!」

一期が怒って膝を立てたのを、真由美さんが止める。

「違うから。声かけたのはあたしだから」

「え!?マジで!?」

すげぇ!!逆ナンかよ!?

「じゃあ、一期が捕まった方なのか?」

「違ぇよ。俺が捕まえたの!!」

…何だかなぁ…。

バカップルって、こういうのを言うのかなあ…。

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