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12cm~越えられない距離~

第19章 俺の、だ

何でこんな事で言い争ってるのか、馬鹿らしくも楽しくなってくる。

「アキの食いしん坊」

「繚は冒険心がなさすぎ」

「違うもの食べれば冒険なのかよ」

「いつもと違うものに挑戦すると、新しい感性が花開くかもよ!?」

「チヂミで!?」

「チヂミで…」

二人で顔を見合わせて、どちらともなく大笑いした。

「何だよ、それ!?」

「チヂミで開く感性って、何!?」

「アキが言ったんだろ!?」

バカみたいに笑いが沸き上がってくる。

「もう…やだ、苦しい」

アキがお腹を押さえながら、前屈みになった。

はずみで髪飾りがシャランと音をたてる。

普段、編み込みとか、ピンで止めるとかしてるの見た事ないから。

いつもは髪で隠れてる、耳から肩までのラインに目がいってしまう。

初めて会ったときも思ったけど…首、長いな。

浴衣だと、余計際立つ。

「…繚?」

アキの声で、我にかえった。

うわ。俺、何考えてるんだ!?

触りたい、とか。マジあり得ないから!!

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