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12cm~越えられない距離~

第19章 俺の、だ

「あ、いや、え…と」

今の俺、不自然なくらい挙動不審で…ほら、アキが変な顔してる。

「あ、そのバレッタ」

「あ…」

アキがバレッタを触る。

俺の作ったやつに似てる…じゃない!!

俺の、だ。

「何で…?」

「この間、繚の店行ったとき、買ったの」

「…何だよ。言ってくれれば作ったのに」

「いいの。買いたかったんだから」

アキはクスッと笑った。

くそっ、何だよ!!

何か変な汗が出て、手がベタベタする。

「どうかな?」

「ん…いいんじゃない?」

おかしいな。さっきは『似合う』って簡単に言えたのに。

俺が作ったものが、アキに似合うって…なんだか気恥ずかしくて言えない。

「…それだけ?」

それだけって…他に何言えってんだよ!?

「……可愛い」

「え」

聞こえてるだろ!?そこで聞き返すなよ!!

「木彫りのバレッタにビーズって、可愛いからコラボ商品としてアリだな。新作のイメージ湧くなぁ」

苦し紛れだって思うけど。

何か言わないと、間が持たない!!

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