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12cm~越えられない距離~

第20章 花火よりも、もっと

「じゃあ、繚、行こうか」

アキが声をかけてきて、俺たちは神社から屋台のある通りに向かった。

飲み物だけなら自販機でもいいんだけど、

「お母さんのお土産、買うんでしょ?」

って言われて。

「今からイカ焼き持って歩くのか」

「帰りだと混んで買えないかもよ?」

まぁな…。仕方ないか。

袋を二重にしてもらって、イカ焼きを買う。

あとはベビーカステラか。

「はい」

振り返ると、緑色の紙袋を渡された。

「何だ?」

中身はハート型のカステラだった。

「いいのか?」

「うん。お世話になったし。私と真央からね」

うちのハハオヤが何の世話したんだか、全く思い付かないけど…

ま、不快な思いをさせてないならいいか。

「ありがとう」

お礼を言って受け取った。

あとは自分たちの飲み物と、皆で食べられるものを買った。

「じゃあ、行くか」

「だね」

二人で頷き合うと、河原に向かった。

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