テキストサイズ

12cm~越えられない距離~

第20章 花火よりも、もっと

「あ、ノブちゃんは…好きな人って…」

アキの言葉に、足が停まりかけた。

「…気付かない?結構あからさまだぞ」

「…真央?」

「そ」

素っ気なく答えたものの、アキの反応が気になった。

「何だ。そっか…」

納得したように呟くアキに、聞かずにいられなかった。

「アキは?」

「え!?」

急に聞かれて、アキが肩を震わせる。

「ノブちゃんが好きなのか?」

驚いたように俺を見た。

「何で!?」

何でって…『何で分かったのか』って事か?

「話の流れで」

「違うわよ!!私が好きなのは…」

怒ったように、すごい剣幕で自分の胸に右手を当てて話し出したと思ったら。

急に黙り込んで、胸に当てた手をぎゅっと握りしめた。

「…言わない!!」

ぷいっと顔を背けると、一人で先に歩き出した。

そんな後ろ姿を見て、呆気に取られながらも、何故か笑いがこみ上げてきて…

「何で笑うの!?」

振り返ったアキが、不機嫌そうに声をあげる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ