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12cm~越えられない距離~

第21章 優しい人~晶side

え?迷子!?

「どうしよう。迷子センター連れてく!?」

「でも近くに親いるんじゃない?」

「そっか。でもこれだけ人がいると…」

確かにすごい人混みで、この中から探すって言っても難しいよね…。

どうしようかと思っていると、繚が鞄をゴソゴソ探っていた。

ん?何してるんだろ。

すると、鞄から小箱を出した。

あ、見覚えがある。

遊園地行ったときも持ってたやつだ。

繚は小箱を子供の目の前で開けると

「まあ落ち着け。アメ食べるか?」

と、話しかけた。

子供は泣きじゃくりながら返事をする。

「うっ、うん」

ノブちゃんが小箱の中を見ながら話しかけた。

「どれがいい?みかんとブドウと…これはラムネだな。苺とメロンもあるぞ」

「ブドウとメロン」

「お前、欲張りだなぁ」

ノブちゃんの一言に、皆がクスッと笑い、子供もへへっと微笑んだ。

あ、よかった。泣き止んだ。


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