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12cm~越えられない距離~

第21章 優しい人~晶side

「あの人がママかな!?」

「きっとそうだよ!!」

ノブちゃんがその人がいる所に向かっていく。

よかった。

こんな人混みではぐれちゃったら不安だもんね。

ほっとして息をはくと、肩をトントンと叩かれた。

「アキ、こっち履けよ」

「え!?」

振り向くと、繚が下を向いて…たぶん、足を見てるんだ。

「足、痛いんだろ」

…何で分かるの!?

分からないように歩いてたのに。

「え…い、いいよ。大丈夫!!」

「もう帰るだけだし、暗くて足元見るやついないから。交換しようぜ」

そう言って私の正面に立つと、履いていたクロックスを片足だけ脱いで私に向けた。

「あ…ありがとう」

お互い片足立ちで靴の交換をして、今度は反対の足。

「うわ…っ」

下駄で片足立ちになって、繚がバランスを崩した。

「危な…っ!!」

繚を支えようと、思わず手を伸ばすと、繚も咄嗟に私に捕まろうとしたのか…

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