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12cm~越えられない距離~

第21章 優しい人~晶side

ドンッ!!

体に鈍い衝撃が走る。

咄嗟に閉じてしまった目をゆっくり開くと、目の前に繚の髪の毛があって…

え?髪!?

視線を下げると、バランスを崩した繚が、私の肩に顔を埋めていた。

「ちょ…繚!?」

「ごめん!!ちょっと待って」

クロックスか脱げたのか、足元を気にしてモゾモゾ動いてるんだけど…

首筋に繚の髪の毛が当たって、くすぐったいような、恥ずかしいような気持ちになる。

繚の髪の匂いが、私にも移りそうな位、近い。

「ごめんごめん。はい、反対」

「うん…」

頭は離れたものの、やっぱり片足立ちで。

バランス悪いから、お互いを支えにして立っている。

どうしよう。

したい訳じゃないのに、意識しちゃう。

繚の手が触れてる部分が、痛いくらい熱い。

繚は下駄を履くのに、足元ばかり見てる。

女物の下駄だから、履きにくくないかな…?

私も足元を覗き込もうとしたら、繚がパッと上を向いた。

「うわっ!!」

「…っ!!」

本当に、あと10数センチくらいでぶつかるんじゃないかって距離で目があった。

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