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12cm~越えられない距離~

第21章 優しい人~晶side

落ち着け、落ち着け!

「…履けた?」

焦ってないことをアピールしようとしたのに、何か変に冷静すぎた返しだったかもしれない。

「あ、うん。サンキュ」

繚がちらっと足元を見てから、私に笑いかけた。

この至近距離でそれは…ないんじゃない!?

マズい。顔、赤くなりそう。

「ありがとうは、私の方だよ」

少しだけ繚から距離をとって、平常心を保つ。

「大丈夫?歩きにくくない?」

繚は、私に気を使ったのか、

「下駄のおかげで背が伸びた気がする」

そんな冗談を言ってくれた。

「繚、いい人だね」

「そうかぁ?ノブちゃんほどじゃないぞ」

繚の視線の先を見れば、パパらしき人がノブちゃんと真央に頭を下げて、二人とも首を盛んに振っていた。

「どうしたんだろ?」

「お礼でも言われてるんじゃないか?まさにいい人の見本だな」

笑いながら繚は言う。

その顔は、本当ににこやかだった。

ノブちゃんが誉められてるのが嬉しいんだろうか?

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