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12cm~越えられない距離~

第23章 『好き』な気持ち

俺が顔をしかめると、「ごめんごめん」と言いながら、俺に向き直った。

「何だかんだ言いながらも、彼氏の事が忘れられなくて、帰りたいって願った訳でしょ?」

「俺は異次元にいたまま帰らなくてもいいと思ったけどな」

「えぇ?何で?」

意外そうな口ぶりのアキに

「彼氏の事が本当に好きなら、異次元に行ったとしても他の人に惹かれたりしないだろ?」

「一人で心細い時に優しくされたら、少しは好きになったりするかもよ!?」

「そんなんで揺らぐくらいなら、本当に好きじゃないんだよ」

はぁ、と呆気に取られた表情になると

「繚って一途なんだね」

「はぁ!?」

「一途で…意固地?頑固?…あ、誉めてるんだよ?」

頭を悩ませながら言葉を紡いでる。

だけど、申し訳ないけど、誉められてる気が全くしない!!

「元の世界よりも異次元の方が、存在意義も必要度も高いわけだし。そこで好きになりそうな人もいるなら、戻らなくても良かったのになぁ」

そう言うと、アキはため息に似た笑いをこぼした。

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