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12cm~越えられない距離~

第23章 『好き』な気持ち

「そんな簡単に割りきれるものじゃないでしょ?」

「そうかな?」

「必要とされてる場所にいるのと、自分がいたい場所にいるの、どっちが幸せだと思う?」

「それは…」

答えにつまった俺に、にっこり笑って

「私は本人の気持ちが一番だと思う。いくら周りに必要だって言われても、唯一無二の人に行かないでくれ!!って言われたら、その方が嬉しい…でしょ?」

「ドラマチックだなぁ」

「だってドラマだもん。あ、映画か」

くすくす笑いながら、アイスティーを一口飲むと

「それが彼女の願い…元の世界に戻る希望だったんじゃない?」

希望…あ、希望かよ!?

はぁ~と大きなため息をつくと、

「何?どうしたの?急に」

「現実に引き戻された」

「え?」

急にテンションの下がった俺に、ポカンとする。

「今週末なんだよな…部活」

「あ、あぁ…って!!まさかまだ描いてないの!?」

驚くアキを前に、アイスコーヒーを口にする。

氷が溶けてる割に苦いのな。

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