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12cm~越えられない距離~

第23章 『好き』な気持ち

「やっぱり彫刻じゃないと気が乗らないの?」

「いや、それはまぁ…諦めたって言うか…」

歯切れの悪い俺に、アキは目を細めると

「諦める?」

と、ぼそりと聞いてきた。

「ジャンルが違うって、割り切れてるんだけど」

「そういう言い方する人って、とても割りきってるとは思わない」

返す刀で斬られて、言葉に詰まった。

「コンクール、出したくないなら出さなければいいのに」

うわ。本質をついてくるなぁ。

「今さらそれも難しいし…それに、どういう訳だか、そうでもないんだよなぁ」

最初は出すつもりなんかなかった。

コンクールは、競いたい人が出すもんだと思ってた。

だけど、部活を休んでいるうちに、少しだけ考えが変わったんだ。

自分で自分の枠を作らなくてもいいんじゃないか、って…。

「へぇ。少しは前向きに考えれるようになったの?」

「少しだけな」

「進歩だね。進化かな?」

「どういう意味だよ!?」

くすくす笑ってるアキを前に、嬉しいような哀しいような複雑な気分になった。

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