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12cm~越えられない距離~

第26章 そんなんじゃないから

「いや、そんな急いで来なくても…」

ホームルーム終わって即走ってきた勢いの皆美ちゃんに、苦笑いを向けると

「だって早く会いたかったんです!!」

仁王立ちで叫んだ皆美ちゃんに、周囲がどよめいた。

はぁ…、勘弁してくれよ。

ため息をついた俺に気付かず、能天気な声で

「それで、どこ行きます?部室が一番手っ取り早いんですけど、先輩のお家の方がいいですか?」

「は?何で!?」

「だって、道具揃ってるでしょう?」

道具って…おいおい。

「今日やるつもりかよ!?」

慌てた俺に、皆美ちゃんはにっこり笑って

「はい!!善は急げって言うじゃないですか」

この場合で使う言葉じゃないだろ。

この子の善って何なんだよ!?

「あのなぁ…経験は?」

「は?」

「やった事あるの?」

俺に教えろって位だから無いんだろうな。

「ありません」

即座に返された答えに、やっぱりと息を吐くと

「じゃあ、今日は無理」

「ええ~!?先輩、意地悪しないで下さい~!!」

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