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12cm~越えられない距離~

第27章 手芸部

「さあさあ、どうぞどうぞ」

手芸部の部室に着くと、皆美ちゃんがドアを開けて中に招き入れた。

中にはまだ誰もいなくて、がらんとして冷え冷えしている。

「他の方たちも、そのうちいらっしゃるかと」

皆美ちゃんがパイプ椅子を持ってきて、俺とノブちゃんに勧める。

「まあまあ、おかけ下さい」

「ありがとう…」

…うん。そういう所は常識人だよな。

言葉がたまにおかしくなるのが残念な所だけど…。

「でさ、木工やりたいのは分かったよ」

「あ、分かってもらえました!?」

にこにこ笑顔で俺を見てる。

「だけどさ、何で?手芸部なら他に色々あるだろ?」

皆美ちゃんは唇をへの字に曲げてうーん、と唸ると

「ぶっちゃけ…他に思い付かないからです」

「はい!?」

聞き返した俺に、皆美ちゃんは慌てて

「あ、違いますよ!?中谷先輩の作品が好きなのは間違いないんです!!」

「はぁ…」

「ただ…この部の皆さんが凄すぎて、何やっても勝てないんです…」

皆美ちゃんは否定するのに懸命に振っていた手を下ろすと、ふぅっとため息をついた。

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