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12cm~越えられない距離~

第27章 手芸部

「部の中で、勝つとか負けるとかないんじゃないか?」

ノブちゃんが静かに言うと、皆美ちゃんは口を尖らせて

「あります!!大有りです!!」

と手を振り回した。

「瑠奈先輩を始め、皆さんプロ並みに上手で…だから毎年文化祭でものすごく販売実績あげてて…」

「あー、うん、そうだね」

ノブちゃんは納得とばかりに頷いた。

「ラッピングも上手いしな。うちの部で作ったお菓子のラッピングも頼んだりしてるし」

「はい!莉那先輩が得意なんです!!」

ノブちゃんに褒められて、皆美ちゃんは目をきらきらさせて喜んでる。

まるで自分が褒められたかの様に喜ぶ姿に、ノブちゃんは圧倒されていた。

「あー…莉那さんね」

「そうなんです!!皆さん得意分野があって素晴らしいんです!!」

笑顔で力説していたかと思ったら、急に眉を下げて

「でも…私は、何もないんです…」

そして、肩を落としてため息をつく。

その様子に、俺とノブちゃんは顔を見合わせた。

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