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12cm~越えられない距離~

第27章 手芸部

そこに写っていたのは、編みぐるみの動物たちだった。

熊とうさぎだけじゃなくて、犬やら猫やら色んな種類の編みぐるみが集合している。

皆美ちゃんが作ったのと似てる…んだけど。

決定的に違うのは、その表情と、可愛らしさ。

「これ、去年の文化祭に手芸部で出品してたやつ」

「すげぇ…」

思わず感嘆の声を洩らしてしまうくらい、すごい出来だ。

「中谷先輩が見てもそうなんですね…」

見れば、複雑な表情を浮かべた皆美ちゃんが、自分の作品のうさぎを指先で撫でていた。

あ、やばい。

落ち込ませてしまったと思い、何て声をかけような悩んでいると

「やっぱりそうなんです。瑠奈先輩を真似ても、瑠奈先輩を超えるものは作れないんです」

やけに晴れ晴れとした顔で笑う皆美ちゃんに、呆然とする。

「だから、他の物で勝負したいんです!!中谷先輩!よろしくお願いします!!」

そう言って、俺に頭を下げた。

お辞儀をしたまま動かない皆美ちゃんに、俺はどうしたものかとノブちゃんを見た。

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