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12cm~越えられない距離~

第28章 やめちゃえばいいのに

教室に走り込んできた沢尻と一緒に、美術室に向かっている。

「俺、今日は美術部休むつもりだったのに」

「いいから。来いって」

有無を言わせず、腕を引っ張られた。

理由も聞かされず連れていかれるから、何だか雰囲気が重苦しい。

ここのところ、部活動をサボっているから、注意でもする気か?

だけど、所属してるだけで活動不参加の幽霊部員なんて、どの部にもいるのに。

頭の中で色々考えが走り出す。

これだという理由も見つけられないまま、美術室に着いてしまった。

「ほら」

沢尻が俺を促す。

諦めも入り、息を吐くと、美術室のドアを開いた。

中には、顧問の大島先生と、美術部員が揃っていた。

「え…と。どうも」

何で言ったらいいのか分からず、口の中でボソボソと挨拶を語ると

「中谷くん、お久し振り」

近藤がにっこり笑顔で声をかけてきた。

…目が笑ってない。

って事は、嫌味か。

「そだな。久し振り」

ニヤリと笑うと、近藤が顔をしかめた。

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