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12cm~越えられない距離~

第29章 これって…デートなの?~晶side~

メールで

『もうすぐ着くよ』

って送られて。

急いで家を出て、マンションのエントランスに出ると、ガラス扉の前に繚が立っていた。

「ごめん、お待たせ」

カードキーを差し込み、扉を開けると

「あ、うん」

繚が、戸惑ったような顔で返事をした。

「…どうかした?」

「いや、別に」

首を振って、ニッと笑って見せるけど…だったら、別にって言葉は出ないでしょ!?

何となく引っ掛かるものがあるんだけど、聞く勇気がない。

「えっと…何処に行くの?」

とりあえず、今日の目的を聞いてみる。

幾らなんでも、当日なら教えてくれるでしょ。

そう思ったのに。

「あ、そうだな。ここからだと…桜通りに出た方がいいかな」

桜通り?

この場所から路地を1つ抜けたところの主要道路の俗名だけど…。

そこで何があるの?

「じゃ、行こうか」

やっぱり最終目的地は教えてもらえないまま、繚の後を付いていった。

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