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12cm~越えられない距離~

第29章 これって…デートなの?~晶side~

桜通りに出て、どうするのかと思ったら、繚は迷いなくバス停に向かった。

バス停?バスに乗るの?

繚が見ている路線は、街の中心部に向かうもので…

「ねえ、もうそろそろ何処に行くか教えてくれない?」

「ま、変な場所じゃないから」

だったら教えてくれてもいいのに。

不思議に思っていると、バスがやって来た。

「はい、乗って乗って」

繚に押されるようにバスに乗り込み、料金を払った。

休日のせいか、車内はわりに空いてる。

「ここ、座ろう」

繚が二人掛けの席を指差して、何て事ないように誘ってきた。

「う、うん」

狭いシートに隣り合って座って…

どうしよう。緊張してきた。

「アキさ、パンツ姿しか見たことなかったから、スカート嫌いなのかと思ってた」

「そんな事ないけど…」

「そっか。そういうのも新鮮だな」

「そう?」

「うん。いいと思う」

窓側に座ったのをいいことに、外の景色を見てる振りをする。

そうでもしないと…近すぎて、顔なんて見れない。

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