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12cm~越えられない距離~

第29章 これって…デートなの?~晶side~

先生が指差した絵は、希望というテーマにしては沈んだ色彩のものだった。

「吹っ切れたな」

先生の一言に、繚は小さく笑うと

「…かも」

と呟くように答えた。

え。…ってことは、繚の絵なの!?

名前を確認すると…あ、本当だ。繚の名前。

そして、その横に…

「岐阜報道社賞…!?」

驚く私の横で、繚が怒ったように

「そんな…騒がなくていいから」

「あ…ごめん」

「いや、喜んでいいんじゃないか?」

先生がくっくっと笑いながら言う。

「そんな照れるなよ」

「うっさいなぁ」

先生が繚の頭を小突いて、繚が悪態をつきながら話をしてるんだけど…

こんな繚、初めて見たかも。

「お前の人物画、初めて見たな」

「そう…かもしれない」

口元を引き上げて、苦笑いのような笑みを浮かべた繚に

「彼女か?」

先生が、絵を親指で差して聞いた。

え…?

繚の絵の中の少女は、華奢な感じで。

胸までの長い髪が、上からの光にきらきらと輝いている。

「はい」

繚が、はっきりと答えた。

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