テキストサイズ

12cm~越えられない距離~

第30章 12cmの距離

前田先生と別れて。

市民会館を出て、時計を見れば12時を過ぎていた。

「アキ、腹減らない?何か食べていこうぜ」

「あ…うん」

乗り気じゃないようなアキの返事に、まじまじとアキを見た。

そう言えば、絵を見てから、あんまり喋ってない気がする。

「もしかして…退屈だった?」

「え?ううん!!楽しかったよ!!繚の絵も見れたし…」

だけどさ。

笑顔が…いつもの顔と違うんだよな。

「俺の絵を見て、正直どう思った?」

「え…あ…んー」

目がきょろきょろ動いて、なんて話そうかと考えてるのが分かる。

考えなくても、率直な感想でいいのにな。

だけど、真摯に答えようとしてくれてるのも分かるから…

「…何で笑うの?」

アキに咎められて、慌てて取り繕う。

やべ。顔に出てた。

「ごめん。そんな難しく考えなくてもいいよ」

「難しいことなんて言えないけど…」

困ったような顔で小首を傾げると、アキが話し始めた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ