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12cm~越えられない距離~

第30章 12cmの距離

「あれ、アキをイメージしたんだ」

「…え?」

アキがキョトンとして俺を見返した。

「嘘。あの子じゃないの?手芸部の…」

「皆美ちゃん?」

アキがこくんと頷いた。

は?何でそんな勘違いしてんだ?

「皆美ちゃんに会ったのは、絵を描いた後だよ?」

「だって、雰囲気とか…」

「雰囲気?皆美ちゃんとは違うだろ」

アキの強さと前向きさを描いたのに。

ムッとした表情を浮かべていると、堪らなくなったのか

「だって…どう見ても私じゃないもん!!」

少し怒ったような口調で話した。

「体つきも髪型も、全然私とは違うのに、何でそんな事を言うのよ!?」

「それは…」

痛いところを突いてくるな。

でも、覚悟を決めたんだ。

小さく息をつくと、正面からアキを見据えた。

「アキを描いたら、アキだって分かるものしか描けないから!」

「…へ?」

アキは意味が分からなかったみたいで、ポカンとした。

「だから、アキだって分からないように描いた」

「…ごめん。よく分からない」

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