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12cm~越えられない距離~

第1章 出会い

俺たちは二年B組の教室に入った。

黒板に、クラスの席順を記した表が貼り出してあり、それを見てそれぞれが自分の席に座っていた。

俺の名前、中谷繚平(なかたにりょうへい)だと、大体真ん中より右側が多いんだけど…

あ、あったあった。やっぱり廊下側か。

指定された席に座り、鞄をフックに掛ける。

一年生の時に同じクラスだった子が、男も女も何人かいてちょっと安心した。

別に人嫌いって訳じゃないんだけど、どうしても人の顔と名前を覚えるのが苦手で仕方ない。

特に女の子だと、髪型変えたりすると誰だか分からなかったり…休日に私服姿のクラスメートに会っても気付かないことはしょっちゅうだ。

俺の隣の席は…根本晶(ねもとあきら)って子みたいだけど…まだ来てない。

根本、ね。あんまり覚えのない名前だな。

するとノブちゃんが俺の横に立った。

「繚の席いいなぁ。俺も廊下側がよかった」

「ノブちゃんは…一番前か」

「しかも真ん中の列…最悪だ」

「うっわ、御愁傷様」

二人で話してると、

「ごめん、通してくれる?」

ノブちゃんが通路を塞いでいたようで、声をかけられた。

「あ、悪い悪い」

場所を譲ると、その子はありがとうと言い、俺の隣に座った。

…って事は、この子が根本晶か。

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