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12cm~越えられない距離~

第30章 12cmの距離

「…だけど…」

「ん?」

口元を押さえながら、眉を寄せた。

「急にこういうの…どうしたらいいか分かんない…」

「えーっと…普通でいいよ」

「普通って、どうしたらいいの?」

アキの足が止まった。

振り返ってアキを見ると、俺をじっと見つめて、泣きそうな顔をしている。

「…何で繚はそんなに普通なの!?」

普通に見えるんだ。

俺だってどうしたらいいかなんて分からなくて、普通に振る舞ってるだけで…

アキの言葉の一つ一つが気になって仕方がないんだぞ!?

「俺は…今までに何回も言ってるのにな」

「え?」

「アキが好きだって」

アキの目を見て、はっきりと告げた。

「あ…」

俺の言葉に、アキは目を泳がせて、俺から視線を反らした。

え?

その反応は、何でなんだよ!?

「アキは?」

アキの気持ちを知りたい。

「…同じ」

顔を伏せたまま、ぽつりと答えてくれた。

同じ。

俺と同じ気持ちだって事だよな!?

…でも、さ。

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