テキストサイズ

12cm~越えられない距離~

第31章 そして…

「せんせー、出来たー!」

「どれどれ…おっ!!すごい!!先生の見本と同じくらいだな。上手になったなー」

褒めると、嬉しそうな笑顔を向けてくれる。

人に教えるって事の楽しさを知ったのも、手芸部のお陰だな。

皆美ちゃんに教えるのに、簡単なイヤリングや小物から始めた。

俺が卒業する頃には、カメオみたいな立体のレリーフが出来るようになった。

手際を褒めたときに、泣きながら喜ばれて…

新入部員までもらい泣きしてた光景は、一生忘れないと思う。

それで…思ったんだ。

美大行かなくても、自分のやりたいことってやっていけるんじゃないかって。

店で俺が作ったものを売って。

カルチャースクールで、彫刻を教えて。

木版画や彫刻のコンクールに出品する。

最近、俺の生活はこんな感じだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ