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12cm~越えられない距離~

第31章 そして…

アキがロングシュートを決めて、会場が沸き上がった。

「よし!!その調子!」

その時、携帯の着信音が鳴り響いた。

何だよ、いい時なのに。

ちらっと画面を見て、見間違いかともう一度確認して、急いで電話に出た。

「も、もしもし?」

「あ、ごめん。寝てた?」

「いや、起きてる。大丈夫」

時計を見れば、午後10時29分。

まだ寝るには早いだろ。

「練習のあと、ミーティングが長引いちゃって」

「そっか。遅くまでお疲れ様」

テレビにはアキの姿が映ってて。

耳元でアキの声がして。

会ってるような、変な錯覚をしそうになる。

「繚は?電話してて大丈夫?」

「ん。今、テレビ見てた」

「あ、中断させてごめん」

「大丈夫。目で追ってるから」

「えー。話、ちゃんと聞いてよ?」

携帯からクスクス笑う声が聞こえて、俺の頬も自然に緩んだ。

「ちゃんと聞いてるって」

アキの声を聞き逃す訳ないだろ?

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