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12cm~越えられない距離~

第31章 そして…

「繚?」

「ん?」

「黙られると、照れる」

アキの声で、今どんな表情を浮かべてるか想像出来た。

あー!くそっ!

目の前にいたら、絶対抱き締めるのに!!

「おしっ、やったー!」

「え?」

「県大会優勝、おめでとう!」

「はぁ?」

急に話を変えたら、アキがキョトンとしたような声を上げた。

「テレビで今やってる」

「あ…今日放送なんだ…って!」

画面の中のアキが、メンバーと抱き合って喜んでる。

「すげー笑顔。アキのこういう顔、久しぶりに見た」

クスクス笑いながら言うと

「もうやめてよ!」

焦ったような、恥ずかしそうな声で抗議してきた。

「アキ、髪伸びたな」

「そう?」
 
「ん…。ポニーテール、似合う」

「…ありがと」

しばらく沈黙が続いて…でも、何だか妙に心地よくて。

テレビでは、選手にインタビューをしてる様子が流れていた。

「あ、アキの番、次かな?」

「え?」 
 
「テレビ。インタビューやってる」

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