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12cm~越えられない距離~

第31章 そして…

「え?…あ!!駄目!テレビ消して!!」

何故か焦ったような声でアキが叫んだ。

「え?何でだよ」

「いいから!!」

突然そんな反応されて、気にならないはずがない。

「分かったよ」

そう言って、テレビの音量をオフにした。

「で?何で見たら駄目なわけ?」

「見られたくないから」

何でだよ。インタビューだろ?

不思議に思いながらも、テレビを目で追っていく。
 
インタビュー内容がテロップで流れるから、音がなくても言ってることが分かった。

『根本晶選手です。お疲れ様でした』

『お疲れ様です』

『今日、大活躍でしたね』

『ありがとうございます』

別に変じゃないのにな。

「優勝したから、全国大会行けるんだろ?」

「うん。9月にやるよ」

「結構間があるんだな」

「そうだね」

今5月なのにな。

「おかげで結婚式行けるから有り難いけどね」

「あ、そうか」

試合続きだと、休みにくいもんな。

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