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12cm~越えられない距離~

第5章 ナータマーヤ

「根本さん、お待たせ」

俺は根本さんが座ってる席のテーブルにトレイを置いた。

「ありがとう。…って、何?これ」

「特製ドリンクって言ってたけど、得体の知れんもんだよな」

「…確かに」

透明なグラスの中に黄色と白色の液体が二層になって入っている。

下の方が白いんだけど、底には黒い何かが沈んでいて…

「下にあるのって…タピオカ?」

「多分。でも何か…」

見た感じ、グロい。

飲み物なのに、そんな印象与えるもん、出していいのかよ!?

「へぇ…面白い」

…は!?

聞き違えたかと根本さんを見るけど、愉しそうに笑ってる表情で分かった。

この人は、このグロテスクな飲み物を受け入れてる…。

マジか!?

…あ、そういえば。感性が変わってるんだった。

ネームプレートを作った時の事を思い出して、ちょっと笑いを浮かべると

「でも1個なんだ」

と根本さんが聞いてきた。

「ストローは2本くれたけどな。…何か他の買ってこようか?」

「でもこれ一人で飲むの、ちょっと辛くない!?…私は半分こでもいいよ」

それって…。

思わず周りのカップルを見た。

やっぱり同じドリンクに、2本ストロー差して仲良く飲んでいる。

…あれをしろって言うのかよ!?



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