無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

背筋がピンと伸び、額のちょっと上辺りでボールを構えた手がふわりと動いた。

手の動きと共にボールが放物線を描き、まるで吸い込まれるようにリングにスポリと入っていった。

「…すっげぇ…」

構えてから投げるまで迷いが一切なくて。

入ることを約束されたかのような軌道。

「さっすが～。やるなぁ」

ノブちゃんの感嘆する声がして、アキが振り返った。

「思ったよりボールが軽くてやりにくい」

そう言って苦笑いを浮かべた。

「次、どうぞ」

「あ、うん」

慌ててボールを受け取ったものの。

あんなに見事に決められた後に投げるのって、結構プレッシャーかも。

「繚、がんばれー」

ノブちゃん達の声援も、緊張に拍車をかけるだけだ。

「じゃ…いくぞ!!」

シュートラインに立つと、ボールを持つ手に力を込めた。

たかだかゲームだし、外した所で「残念」って言うだけだ。

なのに、何でこんなに緊張するんだよ!?

ボールを構えて、シュートの体勢に入る…と

「ちょっと待って」

突然、アキがボールごと俺の手を押さえた。