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12cm~越えられない距離~

第6章 後ろから…

「それじゃ入らないよ」

アキは俺の手を離すと、

「まず軸足を前に出す」

と、姿勢の指導をし始めた。

「あ、はい」

言われたまま、左足を前に出す。

そんな俺たちを見て、真央が

「うわ。始まった!!」

「え!?何?」

「アキの熱血指導。部活見てるみた~い」

真央たちのくすくす笑う声が聞こえる。

たかだかゲームなのに。何でこんなにアキは真剣なんだ?

「ボール構えて…脇は締める」

後ろから両肘を押さえられて、心臓がドクンと音をたてた。

「そのままリングの端を見て」

肘を押さえてたアキの手がすっと伸び、ボールを持つ俺の手と重なる。

「まっすぐ。動かないで」

顔の真横で囁かれて、ドキドキしない方がおかしいだろ!?

それに、この体勢。

まるで後ろから抱きすくめられてるみたいな…

近い!!近すぎる!!

「膝を曲げて、体のバネ使って…1…2…3!!」

アキの声に合わせてシュートする。

ボールはきれいな弧を描き…

「入った…」

「やったぁ!!」

アキがそのままの勢いで、俺の首に手を回した。

え!?

ドン、と背中に衝撃が走って。

気付いたらアキに後ろから抱きしめられてた。

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