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12cm~越えられない距離~

第6章 後ろから…

夕方になり、皆と別れて。

家に戻ったら、母親が俺の顔を見るなり

「うまくいったの!?」

と声を掛けてきた。

「あ…まぁまぁ、じゃないの?」

「そうか~。ノブコにもついに彼女が出来たか」

「いや、まだそこまでではないけど…」

「何で?あんた後押ししなかったの!?メールで伝えたじゃないの!!」

ノブちゃんの弁当食べてるときに来たメールの事だよな。

「読んで吹き出しそうになったぞ。『吊り橋か綱渡り出来るとこに行け』って何だよ!?」

「定番でしょ。怖いドキドキが恋してドキドキすると勘違いするアレ」

…定番?

「今どきそんなんで錯覚するかよ」

「分かんないわよ~?何が起こるか分からないのが恋愛なんだから」

腕組みして頷いてる母親に、溜め息をついた。

「あ、そうそう。あんたは?進展なかったの?ダブルデートでしょ!?」

「デートじゃないし!!ノブちゃんに付き合っただけで」

焦った俺に、フフっと笑いをこぼすと

「でも、女の子と遊園地行くなんてデートの定番じゃないの。少しもときめかなかったの?」

そりゃあ、学校で過ごすだけじゃ知り得なかった姿や、話したりして意外な一面を見たりしたけど…

ゲームでドキッとしたりもしたけど…

「…有ったね」

ギクリとして母親を見ると、にやにや笑いを浮かべて

「そう~。ちょっとノブコに感謝しなきゃね。何て名前の子?どんな子なのよ!?」

あー!!うるさい!!



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